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I-01 マイクロチップの仕組みと挿入事例の紹介

受講期限: 
視聴時間目安:約20分
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  • マイクロチップという言葉を聞いたことがありますか?マイクロチップはICタグの一種で、ペットの個体識別の手段として、非常に重要なものになっています。勉強しなければならないことは、法制度上の位置づけなどたくさんありますが、まずは、マイクロチップの仕組みと効用について、勉強しましょう。
    迷子になったペットが飼い主のもとに戻った、というニュースを、聞いたことがある方もいらっしゃると思います。ペットはしゃべることができませんし、似たような顔をしたペットも多いものです。このため、迷子になったペットが、飼い主と再会できるようにするためには、連絡先を書いた名札をペットに付けるなどして、誰がそのペットの飼い主であるのかが、分かるようにしておく必要があります。
  • ここでは、「マイクロチップとは何か」「マイクロチップの構造と原理」「マイクロチップの装着と費用」「データベースの仕組み」「マイクロチップの効用」について学習します。
    マイクロチップは、令和元年6月の、動物愛護管理法の改正により、販売される犬や猫に対して、装着を義務化する仕組みが設けられました。マイクロチップは、今後、ペットの個体識別の重要な手段になりますので、しっかりと理解しておきましょう。
  • まず、マイクロチップとはどのようなものかについて解説します。
  • マイクロチップとは、世界中で普及している、とても小さな電子機器で、ICタグの一種です。動物の皮膚の下に埋め込んで使います。マイクロチップ内のICチップに記録されている番号を、専用のリーダーで読み取ると、別に管理されているデータベースから登録情報が検索できます。
    ICタグは、身近では、高速道路のETCシステムや、Suica、PASMOなどの交通系ICカードなどにも使われている技術です。もともと、産業分野における物流管理などのために開発されました。ペット用には、欧米を中心に1986年、昭和61年ごろから使われるようになりました。
  • 次に、マイクロチップの構造と原理について解説します。
  • マイクロチップは、直径1mmから2mm、長さ約8mmから12mmの円筒形の電子標識器具です。内部は、個体識別番号が電子的に書き込まれた、集積回路のICチップ、電気を蓄えるコンデンサ、アンテナの役割をする電極コイルからできています。体に影響を与えない生体適合ガラスやポリマーで覆われ、密閉されています。
    なお、ペットの位置を知らせてくれるといったGPS機能はありません。
  • マイクロチップに記録されている番号は、世界でひとつしかない番号なので、個体識別が可能です。日本で使われている個体識別番号は、15桁の数字です。このように、マイクロチップ自体には、数字の情報だけが書き込まれています。飼い主の氏名や住所といった情報は、別のデータベースで管理されており、15桁の個体識別番号と紐づけて利用します。
  • 情報データの読み取りは、マイクロチップの装着位置に、専用リーダーを水平に当てるようにしながら行います。こうすることで、リーダーから発信される電波により、マイクロチップに書き込まれている番号を読み取ることができます。

    マイクロチップに記録されている番号だけでなく、マイクロチップと専用リーダーの間でデータをやりとりするための通信方式の規格にも、いくつかの種類があります。ペット用マイクロチップの開発当初は、メーカーが個々に独自の規格でつくっていたため、マイクロチップとリーダーのメーカーが違うと、読み取ることができませんでした。
    その後、規格の統一が進み、世界共通の規格であるISO規格に準拠していれば、メーカーが違っても、データを読み取ることができるようになりました。現在、日本国内でペット用として流通しているマイクロチップは、ISO規格のもののみとなります。
  • マイクロチップに書き込まれている15桁の個体識別番号がわかったら、インターネット上のデータベースにログインして、飼い主情報を検索することになります。たとえマイクロチップを装着していても、情報が登録されていなければ、データベースから飼い主の情報を検索することはできません。
    なお、データベースでの検索は、誰でも行えるものではありません。個人情報保護の観点から、動物愛護管理センターや警察などに限られています。
  • マイクロチップの装着の仕方や、費用について解説します。
  • マイクロチップは、マイクロチップをセットしたインジェクターと呼ばれる注入器を使って、注射と同じ要領で動物の皮下に埋め込みます。犬や猫の場合、装着部位は一般的に首の後ろで、首の真後ろより下のほうの、やや左寄りに打ちます。
    装着部位を動物ごとに決めておくことで、動物を保護したときなどに、装着しているマイクロチップを探しやすくすることができます。
  • マイクロチップの装着は、獣医師法によって診療行為とされているため、獣医師または愛玩動物看護師が行います。
    かかる費用は、データベースへの登録料を含めて、7000円から10,000円ほどです。この金額は、動物病院によって若干異なります。
    また、環境省データベースでは、一度データベースに登録すれば、住所などの登録内容を変更する場合であっても、追加の費用はかかりません。
    ただし、飼い主の変更には変更手数料300円が必要です。
    なお、マイクロチップの装着や登録の推進と、飼い主への保護動物の返還率向上を目的として、マイクロチップ装着費用の一部負担および助成を行っている自治体や獣医師会もあります。
  • それでは、実際にマイクロチップを装着する様子を見てみましょう。
  • ここでの字幕表示はありません。
  • 次に、マイクロチップを装着したあとに、ペットや飼い主などの情報を登録するデータベースの仕組みについて解説します。
  • マイクロチップの個体識別番号や、飼い主の連絡先などの情報は、環境省データベースに登録します。
    マイクロチップを装着していない犬や猫の登録の流れとしては、
    ①まず、飼い主が動物病院に、マイクロチップの装着を依頼します。
    ②装着が終わると、動物病院からマイクロチップ装着証明書がもらえます。
    ③飼い主は、マイクロチップ装着証明書をもとに、マイクロチップ登録申請を行います。オンラインの場合は、「犬と猫のマイクロチップ情報登録」サイトにログインし、動物病院情報が記載されたマイクロチップ装着証明書をアップロードし、必要事項を入力後、登録料をクレジットカード決済などで支払います。
    郵送の場合は、登録料をコンビニなどで払込後、マイクロチップ装着証明書と一緒に登録申請書を送付します。
    ④登録完了後、日本獣医師会より、登録証明書が届きます。
    これで、環境省データベースへの登録手続きは完了です。
    なお、住所、氏名、電話番号などの変更の際には、登録証明書が必要になりますので、なくさないように気をつけてください。
  • データベースに登録する内容は、マイクロチップの識別番号、氏名・住所などの所有情報、名前や品種などの動物情報などになります。
    狂犬病予防法に基づく登録を済ませている犬の場合は、その登録番号も登録します。
  • 公益社団法人日本獣医師会は、指定登録機関として環境大臣に指定されています。
    日本獣医師会では、環境省のマイクロチップ情報登録制度の指定登録機関として、データベースの管理運営や、飼い主などから届く登録申請への対応、マイクロチップ登録手数料の収納、公共機関からの問い合わせ対応、マイクロチップの普及啓発事業などを行っています。
    また、日本獣医師会や地方獣医師会、日本愛玩動物協会では、マイクロチップの普及を推進するために、専用リーダーを自治体へ配布したり、マイクロチップ装着の助成などを行いました。
  • マイクロチップの装着率は年々増加しています。しかし、毎年増えているとはいっても、その装着率は、2021年現在、犬で約29.2%、猫で約7.7%と、まだまだ低いのが実情です。環境省の調査結果によると、マイクロチップに半数以上の人が賛成していますが、反対の立場の人もいるようです。最も多い反対理由は、「埋め込みが痛そうでかわいそうだから」となっています。なお、マイクロチップを埋め込んだあとの飼い主の心境を尋ねたアンケート結果をみると、大半の人が、「安心感」と答えているという結果が公表されています。
  • マイクロチップの効用について解説します。
  • マイクロチップを装着することによるメリットはたくさんあります。
    まず、一度装着すれば、体内に吸収されて消えてしまったり、首輪のように外れることがなく、ほとんどの場合、生涯にわたって使い続けられます。
  • また、マイクロチップに書き込まれている個体識別番号を改ざんすることは不可能で、確実な身元証明になります。
  • そして、専用リーダーで速やかにデータの読み取りができます。
  • ペットへの負担が少なく、安全性が高いという利点もあります。
  • 今後、人とペットとの共生社会が発展していくなかでは、飼い主としての責任を明らかにすることや、ペットとの絆を絶たない努力をすることが求められていきます。その方法のひとつが、マイクロチップによる個体識別といえるでしょう。
    マイクロチップの普及率を高めるには、「マイクロチップについての正しい知識と情報が広く知られること」が非常に重要になっています。
  • ここでは、迷子になったペットが、マイクロチップを装着していたおかげで、飼い主と再会できたケースを紹介します。
    あるとき、庭につないでいたラブラドール・レトリーバーが、リードが擦り切れたことで逸走してしまいました。家族総出で探してもなかなか見つからず、家から数百メートル離れた隣の町で保護され、警察に収容されました。
    この犬には、マイクロチップが装着されていたので、情報を読み取り、データベースで、飼い主の住所や氏名を照会することができました。
    この結果、無事に、飼い主のもとに戻ることができたのです。
  • マイクロチップの装着の効用としては、次のようなものがあげられます。
    一部のペット保険では、マイクロチップ装着の特約として、保険料を割り引く制度を取り入れています。マイクロチップを装着していないペットと比べると、マイクロチップを装着しているペットは保険を利用する頻度が低いこと、同品種を複数頭飼養しているときに、ペット保険に加入しているペットを明確に特定できること、などが理由となっています。
  • また、令和4年6月1日から施行されるものとして、狂犬病予防法に基づく犬の登録の特例も、一部で始まります。これは、マイクロチップ装着に伴う犬のデータ登録があったときに、飼い主が住む市区町村にも通知されるようになるもので、今まで必要だった市区町村への飼い犬の登録申請の手続きが不要になります。また、犬に装着されているマイクロチップが鑑札とみなされ、マイクロチップを装着していれば、鑑札を付ける必要がなくなります。
    犬の登録などが別途必要かどうかは、お住まいの自治体にお問い合わせください。
  • そのほかにも、海外から日本に犬や猫を持ち込むときには、マイクロチップなどで確実に個体識別をしておく必要があります。輸入時に、マイクロチップが読み取れなかったり、輸入に関わる証明書と個体識別番号が照合できない場合には、180日間の係留検査、輸入国への返送、または致死処分となります。
  • ここでは、マイクロチップに関するよくある質問をまとめました。
    1.装着による害はありますか?という質問に対する回答です。
    日本獣医師会では、これまで20年以上にわたりマイクロチップの登録事業を行っており、国内でもすでに装着の実績が多数あります。これまでの実績から、副作用による障害は、ほとんど報告されていないとのことです。
    2.ペットショップ以外から入手した、または以前から飼っている犬や猫に装着の義務はありますか?という質問に対する回答です。
    義務ではありませんが、犬や猫が迷子になった場合などにマイクロチップが装着されていると飼い主のもとへ戻る確率が高まります。できるだけ装着と登録を検討したほうがよいでしょう。
    3.引っ越したら、登録内容の変更は必要ですか?という質問に対する回答です。
    住所や電話番号、結婚して姓が変わった場合など、飼い主の情報に変更が生じた場合は、30日以内に登録事項の変更の届出を行ってください。
  • 4.すでに登録している犬や猫を譲渡するときに気をつけることは?という質問に対する回答です。
    登録時にダウンロードした「登録証明書」を犬や猫と一緒に新しい飼い主に渡し、新しい飼い主に変更登録をするよう促してください。
    5.動物ID情報データベースに登録しているのですが、環境省データベースにも登録したほうがいいですか?という質問に対する回答です。
    2022年6月1日よりも前にマイクロチップを装着し、動物ID情報データベースに登録している場合には、環境省データベースへの登録は義務ではありません。ただし、6月1日以降にマイクロチップを装着した場合には、環境省データベースへの登録が義務づけられていますので、動物ID情報データベースだけでなく、環境省データベースへの登録も必要です。
    ただし、第一種動物取扱業者の場合は、2022年6月1日より前にマイクロチップを装着・登録していたとしても、環境省データベースへの登録が義務づけられています。
    6.犬や猫以外の動物にマイクロチップを装着したときは、どこに登録すればよいですか?という質問に対する回答です。
    環境省データベースには、犬と猫の情報のみ登録できます。犬や猫以外の動物にマイクロチップを装着したときには、AIPO(アイポ)などの民間機関が管理するデータベースに飼い主情報を登録しましょう。
  • これで、講義を終わります。人とペットの幸せな暮らしのために、しっかりと学習を進めていきましょう。
  • 受講完了
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    お疲れ様でした。この回の講義を修了しました。

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